歯科医師が退職を決意するベスト3

「はじめに」

歯科医師の過剰対策として、国は国家試験を難しくして、合格率を低く設定しています。
そうして歯科医師免許を持ったDrも、2,3年以内で勤務先を変える人が多いです。
歯学部の卒業生の半数以上が女医という時代の中、どういう医院が就職先として最適なのかが、大学を卒業したばかりの歯科医師には判断が難しいようです。

開業を意識しているDrと気持ちよく長く勤務できる職場を探しているDrでは、「良い職場の定義」が違ってきます。
就活で悩まれている歯科医師のための役に立つコメントを紹介していきます。

☆歯科医師が退職を決意するベスト3

第1位……人間関係が最悪で仕事に集中できない

医療に限らず、どの職種においても退職理由の第1位は「人間関係」の悪化です。

どんなに給料が高くても、人間関係の悪化を「給料が高いから我慢しよう!!」というように理性で感情をコントロールしていくことは難しいものです。

人は自分の気持ちを理性で抑えていくことはとても難しく、嫌いな人を好きになることはほとんど不可能です。

嫌いな人がいる職場で、気持ちよく働くことはできません。
人間関係が悪化する理由のトップ3は、職場に下記の人が多いことが原因です。

  1. 自分勝手な言動をする人
  2. 相手への思いやりが足りない言動をする人
  3. 理性よりも感情に任せた言動をする人

人間関係の悪い職場で1日8時間近く働くということは、人間関係のいい職場で10時間以上働くよりも疲労困憊するものです。
そうすると、目先の給料が少し高いぐらいでは割の合わない計算になってしまいます。

第2位……トップ(院長)の考え方についていけない

組織において最終決定権はトップ(院長)が持ちます。トップの人間を尊敬できなければ、その組織で働く意欲が生まれません
トップの利己的なワンマン経営では、社員は幸せになれません。

トップが「儲かれば何でもいい!」とか「社員を自分の奴隷のようにこき使う」のでは、「この医院のために頑張って働こう!」という気持ちにはなれないでしょう。
野球やスポーツに例えれば、監督が自分のことを大切に扱ってくれるから自分も監督の期待に応えようと思うものです。

自分のことを粗末に扱う人のために、頑張ろうという気持ちは湧かないのが普通です。
トップ(院長)が、社員やスタッフのことをどう考えているかが、その組織の社風になってきます。
トップの人間が高い理想を持って仕事をしていかなければ、社員も適当な人間の集まりになってしまい、前述の第1位の「最悪の人間関係の職場」になってしまうのです。

第3位……次のステップの勉強をしたい

歯科医師の大半は、将来開業を考えています。
歯科医院の数がコンビニの数よりも多い昨今、開業に対する不安を抱えている勤務医がほとんどです。

一般治療はできるようになったけど、開業のことを考えると「矯正」や「インプラント」などの自費治療を習得したい!と考えるドクターが大半です。
「矯正」や「インプラント」を勤務医にさせてもいい医院となると、どうしても大型医院に限定される場合がほとんどです。

「開業までにいくつかのクリニックを見ておきたい!」という理由で転職を考えるドクターもいます。

では、どうすればいいの??という人のための……

☆失敗しない就職先の選び方

押さえておきたい3つの注意点!!

1.院長やクリニックのビジョン(経営理念)を確かめる(社員を大切に考えているかどうかを見抜く)

組織はトップの考え方が形になります。トップが良いことを考えていればいい組織になり、悪いことを考えていれば悪い組織になります。
医院の理想は「働いてくれてありがとう!」「働かせていただきありがとうございます」の相互感謝の関係です。

しかし現実には、「雇ってやっているのになんだその態度は!」「働いてやっているのに感謝しろ!」と心の中でののしりあっている関係のことが少なくありません。(笑)
こうなってくると、仕事にやりがいを感じたり仕事が楽しくなることは絶対にないでしょう。

仕事とは、お互いが幸せになるために行っていることです。
院長が自分のことしか考えていない状況では、スタッフが幸せに働けることはあり得ません。

社員のことを大切に考えている会社は、社員教育に力を入れています。
院長が社員を歯車的に考えているのか、仲間として成長してほしいと考えているのかも、就職先を選ぶ際には重要な要因になります。

トップと社員が、良い関係になるか悪い関係になるかを、面接時にも十分確認しておきましょう

2.給与や休みなどの目に見える条件にとらわれない(目先のメリットよりも長期の目線で考える)

就職時の最大の関心事は「お金」と「休み」であることは間違いありません。
しかし、「お金」と「休み」にとらわれすぎる為に失敗する人が後を絶ちません

「お金」と「休み」は誰でも簡単に判断できます。
1万円と2万円では、誰が見ても2万円の方が多いです。
「お金」と「休み」で判断するのであれば、そもそも面接をする必要がなくなります。

ある意味、就職は結婚と似たところがあります。
結婚を決める時に、外見や相手の収入だけにとらわれて決断すれば、間違った決断になってしまうこともあります。

入社前と入社後で、想像と現実の違いに悩むこともあるでしょう。
「こんなはずではなかったのに……」と悩んだ時に、自分がこの医院に決めた理由のはっきりしている人は、不安な気持ちに流されない人で乗り越えることができます。

しかし、誰でも判断できる「お金」と「休み」で決断した人は、少し辛いことがあっただけで方向転換をしてしまう可能性が高くなりがちです。

3.いいとこ取りはしない。自分の中の優先順位を明確にしておく。

引っ越し先を決める際に、駅から近いほうがいい、家賃が安いほうがいい、広い部屋がいい、等自分の希望はいろいろとあるものです。
しかし、すべての条件を満たす物件というものは、めったにないものだし、あったとしたらすぐに誰かに決められて消えてしまうものです。

就職に際しても、人間関係の良い職場がいい、技術を身に着けたい、成長したい、高い給与が欲しい、有給休暇は十分とりたいなどの多くの希望があると思います。

そういったすべての条件を満たしている職場もあるとは思いますが、実際に就職してから「こんなはずではなかったのに……」とショックを受けてしまう方の多くは、自分の中での優先順位が鮮明でない場合に、この状況は我慢するべきか辞めるべきかという判断ができないものです。

我慢すべきか退職すべきかの判断を間違えないコツは、仕事において自分の中で譲れない点をはっきりしておくことなのです。

☆就職先に求める条件

◎目に見える条件

  • 給料、賞与、退職金
  • 勤務時間、残業時間
  • 有給休暇の消化率、連続での所得可能かどうか

◎目に見えない条件

  • 人間関係の良さ
  • 経営理念、トップの仕事観
  • 教育体制、教育への情熱
  • 評価制度
  • 仕事のやりがい
  • 人間的な成長
  • 福利厚生
  • 人脈つくり。将来的なメンター(師匠)の関係維持。
  • 産休後に復帰できるか。時短勤務可能か。周りのスタッフが快く受け入れてくれるか。

サンテグジュペリ の「星の王子様」に「本当に大切な物は目に見えない」と言う一節があります。

目に見える条件だけで未来の成功が決まるのであれば、欲深い自分勝手な人から成功していきます。
しかし、実際には成功している多くの人が、「本当に大切な目に見えないもの」を引き寄せています。

成功者の多くが、成功の要因の第一に「人との出会い」をあげています。
就職とは「職に就く」と書きますが、どういう組織に属するかよりも大切なことは、どういう人との出会いを求めるかという、メンター探しの活動なのかもしれません。

分院展開している法人医院 VS 個人の歯科医院

分院展開している大型医院のメリット、デメリット

メリット

  • 組織がしっかりしているので教育体制が確立している
  • 組織が大きくなるまでにいろんな(失敗の)経験をしているので、仕組みが確立している
  • 自費治療を含め、いろんな症例をやらせてもらえる
  • 組織が大きくなるにつれて、経営理念やビジョンが明確になってくる

デメリット

  • 人数が多いので、人間関係に問題がある組織もある
  • 上司の当たりはずれで、働きやすさに影響を受けやすい

個人医院のメリット、デメリット

メリット

  • 院長が魅力的ならいろいろ学べる
  • 良くも悪くもいろんなことが院長次第!
  • 少人数で家族的だが、変な人が混ざるとあっという間に村社会になってくる

デメリット

  • 院長が診療に忙しくて、教育に時間がさけない
  • 仕組みができていないので、行き当たりばったりの制度が多い
  • 保険中心の治療を任されやすい
  • 院長中心のクリニックなので、患者さまから何かと院長と比較されやすい

☆これからの時代に求められる成功する歯科医像

1.技術的に優れている

歯科医師が職人である以上、技術的に周りの歯科医師と比べて見劣りするようでは、患者さまから選んでもらえないので、技術的に優れているのは最低条件である。

2.リーダーシップ(人間力)がある

以前の歯科医師は、黙って治療だけやっていればいい時代もありました。
しかし、今の時代に、歯科医院は完全にチーム医療です。
スタッフに気持ちよく働いてもらわなければクリニックは運営できません。

リーダーシップとは、クラブ活動のように部下に命令して動かすことではありません。
「この人の為なら頑張ろう」「この人についていこう」と思ってもらえる人間力がなければ、院長一人だけ孤立してしまいます。

1.のように技術力があっても周りの人間を巻き込めない歯科医師は生き残っていけない時代になってきています。

3.伝える力がある

患者さまやスタッフから評価してもらうためには、「伝える力」が必要になってきます。
人間は言葉というツールで伝えていくことしかできません。
伝える伝達手段は言葉ですが、本で読んだり、聞いた話では相手の心は動きません。

自分の人生経験が言葉というツールを通して相手に伝わっていきます。
伝える力というのは、テクニックというよりも、その人の生き方考え方が言葉にパワーを与えるものです。

4.技術以外のアピールポイントがある

1.で技術力があるのは最低条件だと言いましたが、今の時代に技術力だけで他の医院を圧倒することはできません。

例えば、野球のピッチャーが150キロのストレートだけでバッターを抑えることができないのと同じで、歯科医師が技術力の微妙な違いにこだわっても、ピッチャーが1,2キロのスピードアップにこだわるのと同じで、経営的には、患者さまから見た時に、技術以外の周りの歯科医院と違うアピールポイントがなければ選んでもらうことはできません。

自分の強みは何なのか、何でアピールしていけばいいのかということを、常日頃から考えることが大切になってきます。

☆仕事について真剣に考えている方のための動画

☆まとめ

いかがでしたでしょうか?
勤務先選びの参考になりましたでしょうか?

自分の勤務医経験を振り返ってみても、いい職場か悪い職場かは、案外、短期的視点ではわかりにくく、時間がたってから(例えば開業してから)、振り返ってみて成功した!失敗だった!ということに気が付くような気がします。

1つだけ間違いなく言えることは、トップが社員を大事に思っているかどうかは、就職選びで最優先にすべきことだということです。

いい出会いがあることをお祈りしています。

 

  • B!