開業するべきか勤務医を続けるべきか?勤務医って損か得か?開業するメリットとデメリットを徹底解明!!

「はじめに」

全国に歯科医院は約7万件。コンビニの数よりも歯科医院の数の方が多い昨今、開業して成功するのかどうかは、勤務医にとって開業前には誰もが不安になります。

一般的に、普通の企業では、起業後3年以内に3割以上が倒産し、飲食店では90%以上が潰れていると言われています。そういうシビアな世界に比べれば、歯科医院経営は一部の過密地域を除けば、まだまだほとんどの医院が食べていけることは事実です。

歯医者=開業医という流れが自然な時代もありましたが、多額の借金をしてまで開業しないで勤務医という選択をする人も年々増えてきています。

それでは、開業医と勤務医のメリットデメリットを考えていきたいと思います。

1、開業するメリット、デメリット

開業するメリット

  • 自由に仕事できる(自分で決定できる)
  • 成功すれば給与は青天井
  • 世間的には「院長!」と呼ばれ、権威が付く
  • うまくいっている時には、やりがいを感じる

開業するデメリット

  • 引き返せない(勤務医に戻るのは恥ずかしい)
  • 職人から経営者になる(技術だけでなく集客とマネージメントを身につけないといけない)ので仕事が増える
  • スタッフに指示命令しないといけない
  • 勤務医時代は、給料はすべて自分の自由になるお金だが、経営者になると将来への投資とリスク管理として貯金通帳の預金が自分の自由になるお金ではなくなる。
  • スタッフと敵対する関係になることが多い
  • 孤独感を感じる

2、(都心部において)開業後に不可欠な自費の導入率

都心部においては、高額な家賃と人件費、歯科医院の飽和状態によるし烈な患者獲得合戦、等々の厳しい環境下にあるのが現実です。
そういう状況では、売り上げとは「お客様の数×お客様一人当たりの単価」という公式がありますので、都心部では十分な患者数が獲得できない以上は、一人当たりの単価を上げた経営を目指すしかありません。

そうなると、都心部で生き残れる歯科医とは、自費治療をたくさん治療できる歯科医院に限定されてきます。
一般的に自費の誘導というと強引なセールスをイメージしますが、患者様が自費にするかどうかは、その先生や医院に対する信頼度によって違ってきます。

患者様から信頼されていない先生が、自費率の高い経営はできません。どうすれば患者様から信頼されるかということは、学校では教えてくれないので、まずはそういう魅力的な先生たちの真似をして信頼される歯科医師になれるように努力していくことが大切です。

3、成功する開業と失敗する開業

失敗する開業

(1)技術がダメ

患者様レベルで、この先生の技術力がない、ヤブ医者、下手くそ、と思われるようならまず失敗しますが、昨今このレベルの歯医者は少ないでしょう

(2)説明がダメ

技術があるのと、説明が上手なのは全く別物です。自分で勉強ができるのと他人に教えることがうまいことは、必ずしも一致しません。
技術は自分で習得できますが、相手にわかりやすく説明するのは相手の視点に立って考えられなければいい結果は出てきません。

(3)自分の技術や知識を過信している人

技術や知識はあるのに、患者さんから評価されない歯科医師はかなりあります。自分はこんなに勉強しているのだから患者さんは幸せだと思っているDrは、相手に伝えようとする努力に不足する場合が多いです。
おいしい料理を提供しているのだから、サービスは普通でも大丈夫だという心のすきが、患者さんには手抜きに感じられてしまう場合が少なくありません。

(4)スタッフや業者への態度に思いやりがない

患者さんには低姿勢なのに、スタッフや業者の人には威張るような院長は、自分の得になる人にだけ気を遣うという姿勢が、周りから軽蔑されて「自分以外はみんな敵」という関係を作ってしまいます。

成功する開業

(1)チームをまとめる力がある

勉強は1人でできますが、病院経営は一人ではできません。社員の協力なしでは、クリニックを運営していくことはできません。
学校生活や勤務医生活では、自分の力が大切ですが、院長としてクリニックを切り盛りしていく際に、周りの人をどれだけ巻き込めるかが成功できるかどうかの分かれ目になります。

(2)先行投資ができる人

コンビニの数よりも多い歯科医院経営の競争において、現状維持は後退を意味します。
日本一にならなくても、周りのクリニックと比べられて選んでもらえる存在にならなければなりません。日本一ではなくても、その地域で1,2番には選ばれなければ生き残れません。

そのためには、色んな意味で先行投資していかなければなりません。
勉強、機械や材料、社員教育、社員満足、組織つくり、HPのコンテンツ、等々、いろんなことで、利益を投資していかなければいけません。
いい車を買ったり豪邸を建てる前にクリニックに投資できる人でなければ、長い間生き残ることはできないでしょう。

(3)マーケティングとマネージメントをどん欲に学べる人

院長は歯科医師という職人であると同時に、経営者である。
経営とはマーケティングとマネージメントだということを深く理解していないと必ず失敗します。
勤務医なら立派な職人でも評価されますが、開業するということは、職人から経営者になるということです。
院長として経営者になった以上、マーケティングとマネージメントは避けて通れない重要な項目なのです。

(4)伝える能力を磨き続けられる人

経営とはいいものを多くの人に伝えていくゲームです。
「自分はいい治療をしている。自分は社員に感謝しながら働いている。自分の仕事は社会に役に立っている。自分の医院はとても働きやすいクリニックだ」etc……

いろんなことを伝えていって、それが分かってもらえれば患者さんが増え、スタッフがイキイキと働いてくれて、いい循環で仕事が回るよになってきますが、多くの場合は患者さんからもスタッフからも評価してもらえない状況のクリニックが大半です。

「伝えること」と「伝わること」には、大きな違いがあります。「伝えたつもり」で終わっている場合がほとんどです。「伝えたつもり」で自己満足するのではなく「伝わる」まで追及していく人が長く成功できるのです。

4、開業の最大の喜びとは

1~3までお話をしていて、結局、開業する方がいいの?それとも勤務医を続ける方が得なの?という結論が欲しいのではないでしょうか?
損か得かという視点で、今の開業医に質問すれば9割以上の開業医は、「勤務医の方が得だ!!」と答えるでしょう。(笑)

一方、「それならあなたは勤務医に戻りますか?戻りたいですか?」と聞かれれば、ほとんどの開業医が「もう勤務医には戻れない!!」と答えるのではないでしょうか?!
赤字で倒産してしまうと、勤務医に戻るしかありませんが、どうにかこうにかでも、黒字になっている院長なら、たとえ楽でも「勤務医には戻りたくない!」というのが本音だと思います。

1、で開業するメリットとデメリットを述べましたが、独立する一番のメリットは自分で自由に決断できるということではないかと思います。
自分で決断すれば自分で責任を取らなければなりません。当然間違った決断をすることもあるでしょう。
それも含め、自分で決められるという自由は一度経験するとなかなか手放せないものだと思います。

開業してよかったと思うことは、患者さんやスタッフとの人間的なつながりを感じる時があります。患者さんに喜んでもらう喜びは、勤務医でも可能ですが、長いスパンで関わっていく場合は、開業していないと無理かもしれません。

そして、開業して成功するためにはスタッフの成長と協力が不可欠です。
スタッフといい関係を構築でき、スタッフの人間的な成長に自分や自分のクリニックが関われたと思える時が、開業してよかったと思う最大の瞬間かもしれません。
人間は、「自分の行為が誰かの役に立っている!!」と思える瞬間が、仕事をしていて感じる一番の充実感ではないかと思います。

☆仕事について真剣に考えている方のための動画

☆まとめ

いかがでしたでしょうか?
開業するのと勤務医のどっちが得か損か?という判断なら勤務医の方が得だと思います。
開業するメリットは損か得かではなく、どちらにやりがいを感じるか?という視点で考えていかなければ、結論は出ないかと思います。

甲子園を目指したり、オリンピックを目指すことは損か得か?という点で考えるとかなり損な行為ではないでしょうか?
損得だけでなく、大変だけどやりがいや充実感を求めて人は挑戦していくのではないでしょうか?

なぜ人は頑張るのか?なぜ人は生きるのか?その答えは人それぞれ違うとは思いますが、大変さとやりがいは見方が違うだけで同じことです。楽だけどやりがいがある、楽して充実感を満たすことはないでしょう。
大変なことは避けたいという生き方を望む場合は、勤務医が絶対に得です。
大変でも挑戦したい、と思われる方は、開業医した方がいいでしょう!!

  • B!